羊膜移植とは

 羊膜は子宮と胎盤の最内層を覆う半透明の膜(厚さ約100~150μm)で、羊膜上皮組織、基底膜、実質(間質)組織から構成されています。主なる役割は、母体からの胎盤組織への拒絶反応の抑制を含む胎児の保護と、羊水の分泌と考えられています。

 羊膜の基底層はⅣ型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン等から成り、生体内組織では最も厚い基底膜であるとされており、以前より、皮膚熱傷後の被覆、臍ヘルニアの修復、人工膣、腹部手術時における癒着防止等に使用されてきました。眼科領域における羊膜移植の適用は、国際的にも広範に臨床展開されており、2004年11月にはWHOが、羊膜移植を眼科利用に限り組織移植の組織として承認し、その承諾や検査、採取、保存方法に関して規制することになりました。本邦においては、WHOの羊膜取扱い基準をもとに臨床現場での実情を勘案しつつ、日本組織移植学会の組織取扱ガイドラインを遵守する形で、2008年に日本角膜学会が眼科領域における羊膜移植に関する羊膜取扱いガイドラインを作成しました。2009年からの先進医療による臨床研究期間を経て、2014年4月に保険収載され、羊膜移植は広く普及しつつあります。

 また、培養自家口腔粘膜上皮シート移植が2013年に先進医療Bの承認を受けたことで、羊膜は臨床研究の材料としても、使用されるようになりました。